2017年1月24日火曜日

立ちはだかる文書収集の困難さ

予想していたことではあるが,疾患と症状の関係を抽出するための文書を収集することは大変な作業です。ネットの文書を集めることには次のような問題があります。
  • 信頼性
  • 画像や広告を除去して文書のみを抽出する難しさ
  • 関係のない部分の除去(例えば治療法とか原因とか)
では,医学書や教科書から収集するのはどうか。これにも次のような問題があります。
  • どうやって電子媒体にするのか?スキャン?どうしても誤スキャンは避けられない。それをどうやってチェックするのか?
  • 十分な文書を確保できるか?
どっちもどっちです。信頼性を確保しつつ大量の文書を収集するにはどうしたらよいのでしょうか?思いつくのは医中誌などの論文検索サービスを使って抄録付きの論文を検索してダウンロードすることくらいです。学術論文だからネットに比べると質は保てるでしょう。しかし,だからと言って目的の文書ばかりが検索されるとは限りません。また,学術雑誌なのだから疾患に関係する症状を抽出するには不向きな場合もあるでしょう。でも,現時点ではこれ以外に効率の良い方法は見当たりません。試しに子宮内膜症をキーワードにして抄録ありの原著論文と症例報告を検索すると1544件ヒットしました。同様に子宮筋腫で検索すると2000を超える文献がヒットしました。文書量としては十分のように思います。とりあえずここから始めていきましょう。
これは試しに検索してみた結果の1例です。

AB:子宮内膜症は良性のエストロゲン依存性疾患であり閉経後の発生頻度は低いと報告されている。しかし、今回、閉経後33年で偶発的に発見された子宮内膜症性嚢胞の一例を経験した。症例は88歳4経妊4経産。閉経55歳。意識消失発作の原因検索で施行した造影CTで10cm大の卵巣腫瘍を指摘され、当科紹介となった。経腟超音波、造影CT、MRIのいずれでも腫瘍壁に不整や充実性部分はなかった。CA125 145.5U/mlと腫瘍マーカーの上昇を認めており、年齢、腫瘍の大きさ、腫瘍マーカー高値から卵巣原発の悪性腫瘍を否定できず、腹式両側付属器摘出術と術中迅速病理診断を施行する方針とした。術中所見では腹水を認めず、右卵巣は長径10cmに腫大しており、表面平滑・多房性の腫瘤であった。左側の卵巣は萎縮していた。また、骨盤腔内に内膜症性腹膜病変を認めなかった。右付属器の術中迅速病理診断にて良性と診断され、両側付属器摘出のみで終了とした。最終病理結果でも子宮内膜症性嚢胞の診断であった。本症例は、閉経後非常に長期間経過しているにも関わらず発見された、稀有な卵巣子宮内膜症性嚢胞であり、今後さらなる症例の蓄積が必要である。(著者抄録)

AB:で始まる抄録部分のみを抜粋しました。症例報告ですね。医療者の立場から書かれた医学文書です。難解な専門用語や医学概念が多いため,ここから抽出した用語が使えるかどうか,甚だ心もとない感じです。



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